すたぶろ

だから,アニメは楽しい.スタジオゴルゴンゾーラ制作部公式ブログです.

アニメを作る!原画のお仕事編

こんばんは,演出原画の田野です.

いつも演出原画と何となく言っていますが, 僕は主に「原画」という工程を担当しています.

今回からは,毎日僕たちがいったい何をしているのか, 「アニメを作る」と題しましてご紹介したいと思います.

さて,謎に包まれた(そうでもないか)スタジオゴルゴンゾーラですが.

制作場所のレイアウトは上のような感じになっています. 冷気が一番出入り口に近い三浦さんの机に直撃し, そのまま撮影−仕上げラインをなでていきますので,いつも寒い寒いと言っています.

段ボールを壁にして冷気をふせぐぜ.

実際のカットは,まず僕が発行します. その後すぐに動画に回されるわけではなく,一度仕上げにバトンタッチします. そのあとデータは撮影へ,カットは動画にまわされます.

今日は原画編です.

アニメはパラパラ漫画の原型のようなものですから, 少しずつ異なる絵を描いていく必要があります.

パラパラ漫画では,1枚目から順番に描いていきますが, アニメではそれが出来にくくなっています.

前作ではそれをやって,たくさん失敗しました.

ゴルゴンゾーラの作業単位は「カット」と呼ばれています. これはある意味漠然とした単位ですが, 全ての設計図となる絵コンテで,次のように記載されている一部分を指します.

カメラが切り替わるまでの部分を「カット」と言います.

この絵コンテ(実際の資料を切り抜きました)では, 今作の主人公のひとりである「ユニ」というキャラクターが, ファイルを持ち上げつつ「これ,なんだけど」と言うと指定されています.

パラパラ漫画との違いは「台詞」と「秒数」です.

もちろん本編では声が入りますので, 口を声にあわせるように動かす必要があります. また右端の「秒数欄」には「3+0(3秒0フレーム)」と指定されているので, この時間で全てを終わらせる必要があるのです.

やだなーもう!

前から順に描いていくと,時間配分が分からなくなってしまいます. なのでやたらめったら書き殴るのではだめだということです.

まず動きを考えます.これはメモです.

最初は眼を閉じながら首を傾げ, 同時にファイルを上げるというのを考えていました. それを動画に相談しましたら「やめた方が良いかもしれん」との返事でした.

躍動感あるこの人.

目を閉じながらだと眼の軌道(動きの運びです)がとりづらいらしいです. 今回は制作期間が短いですので,修正の原因になるような, 複雑な動きは避けなければなりませんでした.

そのため「目を閉じながら首を傾げる」のではなく, 「眼を閉じてから首を傾げる」ようにしました.

続いて,動きのタイミング・順序を考えます.

キャラクターは常に1枚で描かれているわけで無く, 複数枚の絵が組み合わさる形で作られています.

イメージこのような感じです.

表情だけ,ファイルだけ,頭だけ,肩だけといったように分かれています. こうすることで,各パーツを「別タイミング」で動かすことが出来ます.

別タイミングで動かすことで,枚数を削減できるというのが目玉です. 少しの枚数でより長い時間動かすことが可能なのです. (もっと良いことありますよ,別工程ですが.また後日ご説明します)

さてここまで考えれば,あとは早いものです.

まず絵コンテの「画面構成」欄をきれいに書き直します.

これを「レイアウト(L/O)」と言い,この後の「カットの設計図」となります.

レイアウト用紙は実際の映像のサイズに合わせて印刷されていて, 一番外側の枠が「制作サイズ(100フレーム)」 内側の枠が「安全サイズ(90フレーム)」となっています.

デジタルの映像でありましても,環境によってはモニタの出力領域が異なったり することがあります. そのため,重要なものが見切れないように内側の枠を意識するのです.

レイアウトには背景やキャラクターだけでなく, 撮影の指示などが描かれる場合があります(めんどくさいレイアウトというやつです)

レイアウトとメモを元にして,実際の動きを描いていきます.

これが原画です. 原画では動きの全てでは無く「要所」で重要な絵だけを取り上げて描きます.

左側の矢印は,動きの運びを補足説明しているメモです. 番号が書かれていますが,これは前後の原画を示しています. 重要なのは「点」です.これは動画で新規書き起こしという意味です.がんばれ.

動画をこじらせるとこうなる.

動画の新規が多くなると,見栄えは良くなりますが, 制作時間がかかってしまいます. しかし新規が少ないと,動きが上手く見えないこともあり,難しいところです.

原画だけでは動画になりませんので,タイミングを書いた紙も作ります.

これはタイムシートといって,左側が僕の手持ち分です. 台詞のタイミングも書き込みます.これが一番つらいです.細かいし.

同時にカット内容票という紙にもいろいろ書き込みます.

各担当者の受け入れ日や,撮影さんへの指示,動画や仕上げへの注意事項 撮影用のスキャンサイズなど詳細にわたります. これを適当に書きますと,後々何度も質問が重なって収拾がつかなくなります. (森の奥ではそうでした.大変なのです)

原画は仕上げでの取り込みが終わると,撮影に回されます.

実際のタイミングに合わせて映像にすることで,最終確認をします. 「原撮」という工程です. 原画撮影の略ですが,タイミングの確認だけでなく「声収録」にも使われます.

実際に完成した原撮映像です.

なんだか後ろに合成されているものがありますね. これは撮影のお遊びらしいです.後日談にでも.

ここまでくると,原画のお仕事が終わります. 一番先頭の動きを考えるところから,だいたい10時間ほどかかります. 疲れるのです.

すこしアニメ制作を身近に感じていただけましたでしょうか. スタジオゴルゴンゾーラ第2作「あいかの手帳」の制作は, このように順調(?)に進んでいます.

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次回は「動画編」です.ご期待ください.

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