すたぶろ

だから,アニメは楽しい.スタジオゴルゴンゾーラ制作部公式ブログです.

アニメを作る!動画検査編

演出原画の田野です.

私たちが,一体どのようにして アニメを作っているのかご紹介する「アニメを作る」特集第4回です.

予告どおり,今回は動画検査編をお送りいたします.

動画検査は動画の次工程になります.

動画から上がってきたカットは,全て僕の元へ一度帰ってきます. そこでセルに間違いが無いか,線に乱れが無いかを確認するのです.

動画の人たちも決して乱雑にやっているわけではないのですが, (そう信じています…) 一つのカットだけでも枚数は20枚程度になりますので,確認作業は必須です.

今回は実際に作品に登場するこのカットでご説明します.

登場人物のひとりである「ユニ」というキャラクターが, 説明台詞(ナレーション)の裏で「どうしてもだめ?」というカットです.

僕が原画をあげますと,流れ作業で動画さんまでたどり着きます.

原画ではどのような動きにするか, 実際の絵とタイミングを考え,原画とタイムシートに書き記します.

動画ではその原画/タイムシート(原画編をご確認ください)の指示に従って きれいに清書された動画をあげてきます.

これは原画です.かわいいですね.

動きなどの指示のためですので,すこしラフに書いてあります. また口の動きだけ,別の紙に3枚で書いてくださいとも指示してあります.

これを元にして,実際に動く絵を動画が仕上げていくわけです.

該当の動画です.きれいに清書してあります.

口の部分は別の紙に描いてあります. 右上に動画番号が書いてありますね.よくみますと番号が「A4」になっています. 原画番号は「A3」でしたので,番号がひとつ大きいですね.

実は,動画で新規に作画したセルが途中で差し込まれているので, 番号が原画と異なってくるのです.

タイムシートをみてみましょう.

原画編では左側しか書き込まれていなかったタイムシートでしたが, 右側の欄にも記入されていますね.

左側は動画用のタイミング指定欄になっており,ここが書き込まれた状態で, 動画検査にまわってきます.

細かい部分を確認してみます.

左側が原画欄で,右側が動画欄です. 原画欄で「・」と書き込まれていた部分ですが, 動画欄ではしっかりと番号付きで書き込まれていることがわかります.

この点の分だけ,原画番号と動画番号がずれていくのです.

どの原画番号がどの動画番号に対応しているのか, またどのタイミングでどの動画が一緒に表示されるのかを確認しつつ進みます.

動画番号A3の動画です.

この部分はタイムシートの原画欄では「・」となっていますので, 動画で新しく書き起こしたものであることが分かります. (動画で新規のものは右上の動画番号になにも印がつきません.一目瞭然ですね!)

原画があるものは,それを綺麗になぞってくれますので, あまり確認する必要はありません. 動画検査では時間が限られることもあり,このような新規のものを優先的に確認します.

よく出来ていますが,少し顔に違和感があります.

修正指示は一見して判別できるように緑色の紙に描きます.

動画などのように必要な部分全てを描くのではなく, 修正してほしい部分とその付近だけを描きます. だいたいのところ,これだけでは何を修正してほしいのか伝わりませんので, 右側のようにメモを残しておきます.

続けて確認していきます.

動画番号A4の動画です.

これはタイムシートの原画欄で「③」と書き込まれていたものですので, 原画をきれいに清書したものだとわかります.

すこし顔と肩のラインを修正しました.

動画では原画のラフな線を少しでも綺麗にしようと思って清書します. ですので,原画の線の乱れは修正され,なめらかな線に変化します.

たいていの場合はこれで良いのですが, ごくたまに「ギザギザにしてほしいところが滑らかになる」ことがあります. こういった部分に関しては「あー原画に描いておけば良かったな」と思いつつ, 「ここはギザギザでOKです」といったように修正を渡さなければなりません.

ついでに表情と肩のラインについても修正をお願いしておきます.

ここでカット内容票を確認します.

中段右側に「合成」という欄があるのが分かります. これは複数の動画をコンピュータで合成して,ひとつの動画の絵にすることを指します.

この場合は「親あ」という動画に「A5’」という動画をくっつけて「A5」にします.

大部分が動かない場合にこのような方法をよく使うのですが, これがよく間違いを生み出すのです.

動画検査ではこの合成の確認作業に一番神経を使います. 実際のセルを見てみましょう.

上の二枚をコンピュータ上で重ねることで,ひとつの動画にするわけです.

実際にやってみましょう.

口も合成してみました.一見すると良いように思えます.

しかしこれがよくある合成のミスなのです. キャラクター設定では「眉は前髪に隠れる」事になっています. 言われたとおりに合成しますと,余計な線が出てきてしまいます.

正しくは以下の通りにします.

隠れる部分は「描かない」のが正解です.

もう一度合成して確かめてみましょう.

設定通りに眉毛が前髪に隠れています.

これで大方良いですが,すこし口が遠慮しがちですね. 笑わせることにします.

良い感じです.この1枚に修正を2枚使っています.

このようにして,動画の完成度が高まるように, 「新規作画部分の微調整」「動画ミス(合成など)」の修正を加えます.

タイミングの微調整などは「原画修正」にあたりますので, 動画修正では触れません. (原画を修正するとカットはやり直しになります!それこそ大ひんしゅくです)

但し考えるべきは全体のスケジュールです. 修正が加えられた動画は基本的に全て「描き直し」になりますので, それだけ時間がかかってしまいます. そのために,動画に負担をかけない「仕上げ修正」も使います.

先ほどご紹介した動画番号A4の動画です.

ホホの斜線部分が少し画一的に感じます. またホホのぼかし処理の領域指定(黄緑の円)の形が小さすぎます. このままでは処理後にホホの色が良く出ません.

修正を加えたいところですが, この部分を動画で修正指示するには,全ての動画に修正を加える必要があります. つまり全て描き直しになってしまい,とても時間がかかってしまいます.

そのためこの場合はこの後の「仕上げ工程」において, コンピュータ上で修正してもらうことにします.

仕上げ修正の指示は白色の紙に描きます.

ゴルゴンゾーラの制作上の取り決めでは,原則として 「動画主線」は「動画修正」 「動画色トレス線」は「仕上げ修正」 と決まっています.

この原則を頭に置きながら,動画と仕上げのスケジュールを考えつつ, 最善の修正方法を考える必要があるのです. 大変な仕事ですが,ここで怠けると実際の映像に出てくる絵が変になってしまいます.

ひいこら言いながら何時間もかけて全動画を確認します.

修正が終わると,カット内容票にもどります.

今回は修正がありますので,青で名前を書き込みます. (修正が無い場合は黒で「OKです」と書き込みます) またタイムシート上で,修正がある箇所の動画番号に青で印をつけておきます.

つかれました. (ご紹介したカットは今日あげたものです…!)

原画を描くときよりも,動画検査のほうが疲れます. これをもう一度動画に返して,僕の仕事はいよいよおしまいです.

修正が終わりますと,仕上げに渡され,いよいよ彩色作業にはいります. 次回は「第5回仕上げ編」です.

<特集 アニメを作る!> 第1回 原画編 http://blog.gorgonezola.com/2014/11/make-animation-1.html 第2回 取込み/原撮編 http://blog.gorgonezola.com/2014/11/make-animation-2.html 第3回 動画編 http://blog.gorgonezola.com/2014/11/make-animation-3.html

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