すたぶろ

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意図伝達の難しさ~「絵」と「文字」


こんばんは,演出原画の田野です.

今までなにとなく「演出原画」と言ってきましたが,
実際には「動画部/演出デスク」という役割です.

演出デスクが原画を担当しているというイメージですね.

さて,先日更新されました記事で最後お茶を濁すように雑に貼られた上のスチールです.


前回までの試作モデルから,すこし変わっていることがわかります.

まず大きいのは「主線色変更」です.
スタジオゴルゴンゾーラ作品では,キャラクターセルの主線色は必ず色変更をしていました.

C87作品である「あいかの手帳」やその前の「森の奥停留場」から,
黒色の主線は一切使用していません.


森の奥停留場の試験をしていた時の一画面です.

約1年半ほど前のスチールになりますが,
すでにこの頃から主線色は黒でないことがわかります.

黒色を使いますと,線がくっきり見えるのです.
しかし今までは,思っていたよりも線が「重く」見えてしまうとの判断で,
主線色を明るい色に変更して使っていました.

しかしその頃に比べると,キャラクターのデザインも改良され,
動画部の技術も向上したおかげか,線がきれいに見えるようになってきました.
そのため,今回のモデルでは主線色を黒に変更してみたわけです.


また,瞳の位置もモデル原画の段階で上に調整してあります.

今までは,モデルを作る段階で上にずらしていました.
瞳が上にずらされることで,より表情が柔らかくなるためです.

しかし,モデルごとにそれぞれ調整していては
時間が足りませんので,今回からモデル原画の時点で上にずらすことになりました.

このあたりはまだ手書き原画のほうが,
素早く表情のバランスがとりやすいのかもしれません.


実は笑顔の表情が一番変更されています.

モデルを作った藤田さんは,テクスチャセルも描いているのですが,
全く気がつかなかったようですね.


どこを見ているのでしょうか?╭(๑˘ᴗ˘๑)

見ている人が気にならないような改良は,目立たず良いものですが.
さて作っている人が気がつかないような改良とは.



古いモデルと比較しますと,眼のディティールがすこし変わっていることがわかります.

口の高さも上がっていますし,ほほのぼかし位置も少しずらされているのです.
このあたりもモデル原画で調整しています.

しかし,なぜモデル原画での調整なのでしょうか.


モデル原画からセル/仕上げ/モデル作成までの各工程で,もちろん申し送りはされています.

ですが,セル工程を使用するときも,
「上流工程の意図が,下流工程で誤って解釈される」ということが多々起きていました.

そのため,各制作用紙にも意図伝達のためのメモ欄があったのですが,
どれだけ注意してもこのたぐいのミスは起こりえます.

モデル原画は今までと同じだけど,
「瞳の位置」「ほほぼかしの位置」「口の位置」を変更してください,といった指示は,
十中八九無視されて,原画通りのモデルができあがります.


文字よりも絵の方がインパクトが強いので,それはそうですよね.

制作作業では主に「絵」を扱っていますので,
それに付随する「文字」は無視されやすい傾向にあります.

僕は「動画部/演出デスク」ということで,
制作部の皆さんに指示を出すことが多々ありますが,
こういった傾向を常に気にとめておくことで,物事が円滑に進みます.


こう言った落書きも「絵」で視線が集中することを狙う意図があります.

ただの落書きの場合もありますが.



中澤さんの落書きを見つけたので,記載しておきます(ひどいですね!)

ちなみに「稲城わかば(森の奥停留場/主人公)」らしいですよ.
半年以上色を塗り続けてこれ.



そんな中澤さんが完成させた,試作段階の色設定です.

色設定も少しずつ,改良が加えられているのですが,
それはまた次回お話しすることにします.

また制作部にも新しい人が増えてきました.
その話もまた出来ればいいなと思っています.

また明日もがんばります.


(すでに今日か!!)

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