すたぶろ

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【特集:制作ライン試験!④】撮影編

ユニレンズ どうも、撮影担当の三浦です。この肩書き、ずいぶん前に意味がないというようなことをブログで書いた覚えがあるのですが結局意味があるように復活してきました。私は死なぬ、不死鳥のようによみがえるさ!きっと制作後半は作業多くて死んでるけど!

と、いうわけで唐突に復活したメイキング記事・撮影編をかけなかったので今日お送りいたします。なんか人気あるらしいんでどんどんイイネしてくれていいにょ?もっとほめろ!

さて、まず先に撮影という仕事をおさらいしておきましょう。端的にいえば読んで字のごとくなのですが、もう少し詳細にいえばエフェクトや特殊効果を担当しています。

[caption id=“attachment_8155” align=“aligncenter” width=“1477”]これなんだけど まっくす[/caption]

最近では移行した先である制作環境の 3ds Max においても被写界深度などをはじめとした撮影効果を加えることができるのですがいかんせん我々の練度がとても低いです。急がば回れとコジ記()にも書いてありますが、現状の我々だと回り道をしたら即遠回りであるということと同義です。ぶっちゃけ無理。 別方面の問題は本日同時に中澤さんが記事にすると思うのですが、事の次第は要するに温故知新。慣れないことやってぎゃーぎゃーいうより慣れた方法でどうにかしろ、とつまりそういうわけです。

↑ぎゃーぎゃー言ってた頃の動画

そういうわけで前置きが長くなりましたが撮影というセクションにおいて全部やっちまえというわけなのです。ただし、今作において我々は鉛筆で絵を描くという作画ということは行っていません。ですのでちょっとしたワークフローの変化があるわけです。 まだ、「動画」というシロモノは完成していないので現段階では以前でいう「原画」以下な状態ですが 3DCG のいいところは途中だろうと何だろうと完成に近い「画」を出せるということ。今回はそういうわけでいきなり特殊効果バリバリです。イメージボードに近いやつなのにね。

[caption id=“attachment_8179” align=“aligncenter” width=“1920”]ユニラインテスト-0623_R おわかりいただけるだろうか?この画像、実はやらなくてはならない調整を一つ忘れている・・・おわかりいただけるだろうか?か?[/caption]

それでは撮影でどのように、元素材にどのようなテコを入れてこのようになったのか。昨日Twtterで公開されたこの画像を例に紹介していきましょーウ。ちなみにこの記事クソ長いです。

まず初めに撮影にはこんな素材が届きます。

CELL BG 人物の「セル」と背景である「BG」ですね。今回の素材の提供は驚きのこの二つだけ。通常だと絵コンテやそこからイメージを書き起こしたイメージボードが存在し、そこには「演出」の指針が書き込まれています。また、書き切れなかった部分が「原画」に書かれていることもあります。

[caption id=“attachment_8182” align=“aligncenter” width=“2945”]えこんてにはかいてなかった えこんてにはかいてなかった[/caption]

が、今回そういうのはなし。まだそこまで行ってませんし演出を決める田野御大当人曰く自分の頭の中でもふにふにだそうな。とりあえず脚本やらラフコンテに書かれている「快晴・夕暮れ」という一点のみからすべてをイメージすることにします。

テッテレ~第1段階~画像を背景にするんだ!

まず「BG」に手を入れます。「被写界深度」と、「夕暮れ」という時間にそぐうように調整します。 で、調整したのがこちら。

びじー 手前の「橋」を暗くなるよう色を調整しピントがあってないように見せるためにぼかしをかけています。 奥に見える「木々」には色が明るくなるよう調整しぼかしは手前の「橋」よりもきつくなるように調整してあります。 色の差は単純に日向と日陰の差の表現であり、立体的な背景に見せたいときに多用されます。 ぼかしの強度の差は「遠近」の表現です。遠くのものはボケて、近くのものにピントが合うとか言われるアイツです。今回は人物にピントがあっているので背景は全体的にボケボケに。

テッテレ~第2段階~人物を人物にするんだ!

CELL 次は上の人物セルの調整をします。

撮影編セル 調整するとこうなります。一番目立つポイントは頬のチーク的なサムシングにぼかしを入れたことでしょう。調整前はペコちゃんみたいでしたがいくらなんでも表現がロリっぽい雰囲気満載なのでボカします。また、ヒジョーにわかりづらいですが目にも少し手を入れています。

びふぉーjpgあふたー

拡大したりわざわざ言わないとまず気がついてもらえないんですが目の「ハイライト」にもぼかしを入れています。猫の目がレンズみたいでキレイとかよく言われますがこのテコ入れはそれを狙ってます。印象的な目になるとイイナー。

そして次にディフュージョンフィルターをかけます。するとこうなる。

でふ 以前も書きましたがディフュージョンというのは明るい色を発光させるという表現です。和訳すると、「拡散」。この「明るい色」を「拡散」させるというのがキモで明るい部分がふんわりとボケるので全体的にやわらかい表現になります。

人物の調整はこれで終わりです。実はあともう一つ効果を入れていたのですが後述の理由で断念しました。

テッテレ~第3段階~ドッキングオペレーション!

前2段階でできた素材と合体します。ソイヤッ

[caption id=“attachment_8195” align=“aligncenter” width=“1923”]ぐぬぬ ブゥン[/caption]

げっ、ユニちん光ってる!ぐぬぬ・・・。

実は人物セルの調整で肌の明るい部分にもぼかし表現を入れていたのですが横顔というアングルなのでボケている部分がやたと目立ってしまい、それをディフュージョンがさらにふんわりと発光させたらこのザマである。なんだこれは。この子電球だったのか。カットカット。

許された 許された。これでこそ人類である。 はい、続きいきましょう。めんどくさいんでキャプチャし直さなかったんですがこの段階での二つ目の効果が実はすでにかかっています。

べふあふん

左が調整前で右が調整後。右のがボケてますね?さっきの背景の調整で被写界深度を調整しましたがこれは人物にも必要です。人物全体にピントが合うのか、人物の一部にピントが合うのかです。 詳しく話すとカメラのレンズの講釈になってしまうので省きますが人物全体にピントを合わせようとするとたいてい背景のほうにもピントがガッツリあいます。人物と背景との相互の距離次第なので一概には言えないですがいずれにしても背景がさっき調整したようにはボケません。

[caption id=“attachment_8201” align=“aligncenter” width=“1672”]ちなみにうっすら見える緑の線は顔にぼかしがかかりすぎないよう調整しているモノ ちなみにうっすら見える緑の線は顔にぼかしがかかりすぎないよう調整しているモノ。エフェクトの範囲を「制限」しています[/caption]

が、演出上ほしい表現はあの背景のボケボケ具合です。というわけで今回のケースは人物の一部にピントがあっている、というケースなわけです。これはカメラ的には「絞りを開いた」状態といいます。気になるヒトはレッツGoogle検索。

さあ、被写界深度が終わったぜ。今度は「日照」の再現です。よほど非常識な環境にいない限り我々は太陽かそれに類する天体に照らされた地面で生活しています。これを映像上に擬似的に再現します。これを「ライティング」といいます。撮影というと「ライティング」という人もいますね。意外とエフェクト自体は多用しないことが多いので。

[caption id=“attachment_8204” align=“aligncenter” width=“1920”]緑の線消すの忘れてた。めんどくせー 緑の線消すの忘れてた。めんどくせーのでキャプチャし直しません[/caption]

PON

全体的に真っ白けっけっけになりました。ヒジョーに判断しづらいですがこれで光の強弱がグラデーションとして表現されています。そのために追加した画像が以下のふたつ。

[caption id=“attachment_8205” align=“alignleft” width=“276”]入射 入射光の表現用[/caption]

[caption id=“attachment_8206” align=“alignright” width=“276”]明暗 明暗差の表現用[/caption]

わかりづらっ!でもこいつを足してああいう風になっているんです。納得してください。決して不条理ではないのです。

長かったドッキングオペレーション編はこれでおわり。

テッテレ~第4段階 超絶!合体セル!・・・・・・を調整する

はい。今までは人物と背景ごとのこまごました調整でした。今度は「画面全体」の調整へシフトしてゆきます。 というわけで調整そのいち。白く飛びすぎた絵面をどうにかする。 さっきは光の表現が何だとわかりづらい画像を追加して表現しましたがあのままだと非常にまぶしい画面になってしまいます。演出方針にそぐわないですし、なによりまだ全然夕暮れじゃない。

というわけで効果を足します。

とーん たした。

何をやったのかというと「コントラスト」を調整しました。コントラストの調整といっても全体的に暗くするとか明るくするとかいろいろありますが今回は全体的にゆるく「明るいところを明るく」「暗いところを暗く」なるように調整しています。 ただ、もとの画像をそのままコントラスト調整するとかなりドぎつく調整されてしまうので複製した画像に調整をしてその画像の透明度を下げて合成するという言葉にすると非常にややこしいことをしています。

[caption id=“attachment_8212” align=“alignleft” width=“276”]実際使っているのがこれ 実際使っているのがこれ[/caption]

[caption id=“attachment_8214” align=“alignright” width=“276”]透明度下げる前がこれ 透明度下げる前がこれ[/caption]

右の画像がコントラストを調整したもの。この画像の透明度を下げることで色が明るい部分はより透明になり、かろうじて色が暗い部分が残るといった具合になります。 色が明るい部分というのはさっきの「ライティング」で作ってある「入射光用」のグラデーションに相当します。そして暗い部分は「明暗差」用のもの。スゲー地味ですがこのふたつの画像を足すことでちょっとした色の分別が済んでいるのです。

ふせーおりじん ここでこの画像もなかなかよくできてるじゃないかと思われる方もいるかと思います。しかし表現したい演出を考えるとこのままではあとあと響いてくるのです。後々っていうか直後なんですけどね。

というわけでPON。

ふぃるた これはエフェクトをかけているのですが外部のプラグインを用いています。 ずばり「Quick Looks Free」。

くいっく これはいくつかの「こんな画面になるよ」というプリセットが登録されていて画面をそのプリセットの通りに一括で変換できるというすばらしいエフェクト。 欠点としてはプリセットがご覧のとおり見て「すぐわかる効果」なので見る人が見れば、「あ、こいつアレつかったな」とバレてしまったりします。 バレないといいなーっていろいろやってはいるんですがどうなんだろう・・・。

まあ、変な話はさておきこのプリセットを使って色味を少し赤みががかるようになったのと色味が失わない程度にコントラストが強調されています。ただ、このままだと夕暮れとはちょっと言いづらいです。ほかのプリセット使えばいいじゃなーいとか思われるかもしれませんが少少効果がクドい気がしたので別のアプローチで解決します。

解決した 解決しました。これは画面全体に一括でカラーセロハンをかけるみたいに色味を調整できるエフェクトを使いました。その中でもオレンジ色を用いて暖色のほうへ色がシフトするようにしました。これで夕暮れっぽいじゃろ。

さて、さっきのフラグを回収しましょう。コントラストを調整したとき、がぞを複製していないとどうなるのか。こうなります。

とんみ PON。これでもさっきのプリセットとカラーセロハン的サムシングを適応済みです。ものの見事に画面が暖色ではない。これをこのまま調整してもいいんですが少少コントラストがきつすぎます。真っ黒いところが画面の中でちょっと多いです。黒くしたいときはこうしますが今回はそうでもないので却下。

これで合体後の第一段階は終了です。次がラストです。

テッテレ~第5段階 超絶!合体!・・・してたセルをさらに調整する

こんな記事を書いといてナニですが自分でも疲労してきました。でもこれが最後。

というわけでPON。

収差 ここで足されたのは色収差という効果です。画面の中であちこちの輪郭に赤や緑のフチがあるのがお分かりいただけるでしょうか?これが色収差です。

わりかし何度も紹介していますが色収差というのはカメラのレンズの中でも光学式のもの特有の現象でこれを入れるとリアリティとゴージャス感が出ます。 今回はせっかくなのでやたらしちめんどくさい解説をしてしまいます。

[caption id=“attachment_8232” align=“aligncenter” width=“514”]「The Department of Physics and Astronomy,The University of Iowa」による画像らしいけどリンク切れてる・・・ 「The Department of Physics and Astronomy,The University of Iowa」による画像らしいけどリンク切れてる・・・[/caption]

さて、現象を解説するうえで一つおさえていてほしいのは光というモノには色があるということです。ニュートンが「プリズム」によって発見した「光には色がある」です。別の言い方をすれば光は3つの原色からすべての色ができてるというアレ。 で、色が違うということは各々の「波長」が異なります。そして波長が異なる光というのは何らかの物体に対して反射ないしは通過する際に異なる屈折率を持ちます。これにより、なんらかの条件下で目視できる状態になります。これが「色収差」。 この現象が起きる中でもとくに、カメラのレンズは複数のレンズを持っていることでこの現象が際立つことがあります。

いま足したのはこういう効果。よくわからなくてもとりあえず現実にある効果を擬似再現したんだなくらいの認識でも大丈夫です。ぶっちゃけ無駄知識の域。リアリティとゴージャス感がでるんですよ。よ。

次ですつぎ。

ユニラインテスト-0623_R ぶっちゃけこれは完成画像と寸分くるわず同じです。ただ、画面の四隅が暗くなっていますね? これは「周辺減光」という現象を足しているのです。「周辺光量」ともいいますね。「周辺減光」というと恒星の光が中心から輪郭に行くにつれて光が弱まるってのが出てきますが起きてる現象自体はあながち遠いとも言えなかったりします。

[caption id=“attachment_8240” align=“aligncenter” width=“1922”]実際に足した画像 実際に足した画像[/caption]

というのも、いま私の言う「周辺減光」も画面の輪郭に行くにつれて画面が暗くなるということを指しているからです。 ちなみにこれもカメラのレンズ特有の現象です。またか。これまた変な講釈になるので詳細はもう省きますがこの現象は「絞りを開いた」状態で発生する現象です。 さっき、上のほうでやった被写界深度の調整では「絞りを開き」ましたね?ですのでカメラのレンズ的にはでないとおかしいわけです。最近のレンズは出来がいいのでまあそんな極端には出ないですが我々の撮影においてはレトロなレンズを使っているという想定なのでガッツリ入れます。

なんで入れるかっていったらそこはほら。あれですよ。リアリティとゴージャス感。

そういうわけで以上!撮影効果をすべてかけて、できるのがこの下の画像!

ユニラインテスト-0623_R

本記事3度目の完成画像。長い記事ですよね?私も疲れました。お前が言うなですね?すみません。 本当はあと2つばかり紹介できる内容がないこともないのですがまあ、自分でもナンダコレとかって言っちゃうくらいのわかりづらさなのでなんかの要望があったら記事にしようかと。もうこれ以上長い記事なナニなので。

そんなわけで撮影編以上でございます。長々おつきあいくださり、ありがとうございました。 ググってもわりと撮影の仕事の具体的な絵面が出てくることはすくないのでなにかを求めておられる方々の参考になれれば幸いです。まだまだトーシロのにわか仕込みだと私自身は思っていますが、アニメ制作で実際にやっているということには忠実だと思いますので。たぶん。

それではさようなら!

<特集: 制作ライン試験!> (6月20日)概要・予告 (6月21日)ベースリグ/カスタムボーン編 (6月22日)ポージング/画面作り編 (6月23、24日)画面効果・撮影編【イマココ】 (6月24日)仕上げ編 (6月25日)美術・作画修正編

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神は言っている

どうも、撮影担当の三浦です。この肩書き、ずいぶん前に意味がないというようなことをブログで書いた覚えがあるのですが結局意味があるように復活してきました。私は死なぬ、不死鳥のようによみがえるさ!きっと制作後半は作業多くて死んでるけど!

と、いうわけで唐突に復活したメイキング記事・撮影編をかけなかったので今日お送りいたします。なんか人気あるらしいんでどんどんイイネしてくれていいにょ?もっとほめろ!

さて、まず先に撮影という仕事をおさらいしておきましょう。端的にいえば読んで字のごとくなのですが、もう少し詳細にいえばエフェクトや特殊効果を担当しています。

(中略)

[caption id=“attachment_8252” align=“aligncenter” width=“1137”]わからん わからん[/caption]

正解はこの画像を比べてみてくださいな。

ma ご なんか下のほうが線がきれいになってるじゃなイカ! ドューン!中澤さんが紹介すると思いますがキャラクターの線を「二値化」されています。このままだとジャギジャギで汚いので、きれいにするには「スムーザー」という画像の中のエッジを滑らかにするエフェクトをかける必要があります!すっかり忘れてたぜ。 ちなみに私は我々は「ポケットモンスター」のアニメの制作会社で有名な「OLM」様のフリー配布のものを使っています。シンプルながら非常に強力なのでお勧めです。ほかにも何点か配布されているエフェクトがありますがマジ有用。人物調整の大半がここのエフェクトなかったら死にます。誇張抜きでマジに死にます・・・。なんかお困りの方は一度入れてみればいいかもしれません。

本当はこれを第2段階のキャラの調整でやるはずだった!忘れてた!帰ってから気がついた!ごめんね!記事もクソ長くなりました。

本物の完成画像を投下して今度こそ、完。 本当に、本当に長々おつきあいくださりありがとうございました。

[caption id=“attachment_8255” align=“aligncenter” width=“1920”]サーセン ???:このたわけが ぼく:ヒ、ヒエーッイ[/caption]

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